窯いっぱいに立て込みができたら、窯口の上3分の1ほどを石と粘土で塞ぎ、窯口で火を焚きます。
窯の中の温度を上げて、原木の熱分解を開始させるためです。
原木は300℃前後になると、分解が始まります。空気があれば炎を出して燃焼してしまいますが、空気がある程度少ないと、炭素だけを残して他のものが煙となって放出されます。
この分解の時に熱がでるので、この現象を熱分解といい、これを炭化とか乾留とか呼んだりします。
ある程度熱分解が進めば、窯口で火をたかなくとも、原木自身が分解されていく時に出す熱でもって、他の部分の熱分解が進みます。これを自発炭化といいます。
煙の臭いや色、勢いなどで、その頃合いを判断し、窯口を小さな空気穴を残して、石と粘土でふたをします。窯の後ろの排煙口(クド)もある程度塞ぎます。前の窯口、後ろのクドの塞ぎ加減を調整して炭化の進み具合を調整します。経験と勘がものをいいます。
最初はミズケム(水煙)、熱分解が始まる頃は甘い匂いになります。この匂いをリグニンの分解臭ということでリグシュウと言ったりします。自発炭化開始はカラケム、盛んに炭化が進む頃は大カラケム、・・・・・・と、煙には、何段階もな目をつけて、煙に名前が付いていたりします。
連続して焼いていると、窯が暖まっていて、蓄熱した石の熱でもって、自然と炭化が始まる場合も多いです。